運命聖戦第三十六章_ストーリー

未暗
聖なる血を持つ者。私の世界を壊す人間…。今度こそこの世から消えてもらうわ…!
ララ
谷根 未暗!お願いです、私たちの話を聞いてください!!
私たちは貴方に危害を加えたり、大切な居場所を壊すつもりはないんですっ!!
未暗
それはお前たちが言っているだけでしょう?本当はどう考えているかなんて分からないわ。
仮に敵意がなかったとしても、共存を望むお前たちとその世界を否定する『暁の魔術団』…
相反する思想を持っているのだから、衝突するのは当然でしょう?
それに、実の両親に傷付けられ弄ばれた私を救って居場所までくれたのは魔術団なの。
その魔術団の敵は私にとっても敵よ。
ララ
自分を救ってくれた存在や居場所を大切にしたい貴方の気持ちは分かります…。
でも、それで誰かを傷付ける度に貴方と同じような辛い思いをする人が増えるばかりで
もっと悲しい世界になってしまいます、そんな世界は嫌ではありませんか…?
未暗
ふふ、うふふ…アハハハハ!
ヴァンパイア王の末裔とじゃ思えないくらい、甘くて優しい考えね、あの方々も嘆かれる訳だわ…。
言ったでしょう?あの方がいて、呪いで穢れた美しい古美術品で溢れている…
そんな世界があれば私は十分なの。他人がどうなっても構わないわ。
だから、あの方のいる私の居場所を壊すヤツは絶対に赦さない…。
私たちが相容れないのはもう分かったでしょう?だから、おしゃべりはここまで。
タイナー、いらっしゃい。…お前たちを消すために連れて来た、とっておきの子よ。
タイナー
クスクス…
アナタたちの血かしら?とぉってもイイ香り♪
未暗
さぁ、タイナー。
あいつらにも呪いの力を見せつけてあげて?
???
やっと見つけたわ…待ちなさい!
ララ
あ、貴方は!?
マガリー
私はマガリー・スミス。プリンセスは初めましてよね。
そこの聖なる血を持つ者と契約したヴァンパイアよ。
それよりあの人形のような魔物…。あれには私が作った呪具が埋め込まれているわ。
未暗、貴方は身を護るために私の呪具を求めてきた。それなのに、こんな…っ。
未暗
そうだったかしら…?でも、おかしなことを言うのね。
呪具なのだから、呪うために使うに決まっているでしょう?
すごくいい出来よ。私の持つ呪いの力を増幅させて、こんなに素敵な子が生まれてきたんだもの。
マガリー
私は、力の弱いヴァンパイアを護るために呪具を作っているの。
少なくとも、誰かを傷付けるために作っていないわ!
ララ
マスターさん?……そうですね。とにかく今は未暗たちを止めるのが先決ですっ。
マガリー
…なるほど。私は呪具をなんとかしたい。それならお互いに協力するのがいい、そういうことね?
あの子の力が加わって強くなった呪具は、作った私でさえ制御できるか分からないわ。
とれも危険だから人間である貴方には離れていてほしいけれど…。
ララ
そう言われて引き下がらないのが、マスターさんです!
マガリー
本当に真っ直ぐで一生懸命な人間ね。
……そして、裏切られても呪具を作り続けている私と同じくらい頑なだわ…。
ララ
マガリーさん?何か言いましたか…?
マガリー
ふ…。なんでもないわ。
本当の呪具の力、私が見せてあげるわ…!
ララ
ハァ……ハァ…ッ、やっとタイナーを封じることができました!
マスターさんもマガリーさんも、少し疲れているようですが大きな怪我はないようで安心しました…。
未暗は…私たちがタイナーと戦っている間に姿を消したようです。今は気配すら感じません。
マガリー
タイナーから感じる呪いの力も、呪具を取り除いたからか相当弱くなっているわ。
今の内にこの呪具も封じておきましょう。
ララ
…最初に見た時は不気味だと思っていましたが、今はそれがなくて美しさを感じます。
ふふ…貴方もそう思いますか?元の姿は綺麗な人形だったのかもしれませんね。
???
そこのみなさーん!!!
ちょーっと失礼しますよ…っと!ふむふむ…。ふぅーむ……。
ララ
あ、あの?それはただの人形じゃなくて…っ!
???
うん、分かっているよーって、プリンセス・ララじゃないか!それにキミも!
私が手放した古美術品と再会できる気がして移動していたんだけど、
まさかこんな出会いがあるとはね…私たちは本当に良き縁で結ばれているみたいだ♪
ララ
マスターさん、この方が?……ヴァンパイアのマーサ・チャントさん?
マーサ
おっと。プリンセスを前に自己紹介が遅れてしまって申し訳ないね。
名前は紹介してもらった通り。
普段は古美術品の収集と売買をしていて、世界のあちこちを移動している。
だからこうしてプリンセスと会えて本当に嬉しいよ!
ララ
古美術品の商人?もしかして、さっき再会できると言っていたのって…
マーサ
まさに、この人形だったモノだね。
ところで、どうして人形がこんなことになっているんだい?
私の知らない力を感じるし、何かあってこうなったんだろうと思うんだけど…
ララ
実は、かくかくしかじかで……。
マーサ
なるほど。多分それは私のお客さんだ。
だいぶ前になるけど、黒髪の女の子に出会ってね。この人形を譲ってほしいと言ってきたんだよ。
私は古美術品の魅力を感じる人か、その品と縁がある人相手にしか商売をしないんだけど…
その時、たしかに女の子と人形の間に縁を感じたんだ。
…どうやら良い縁じゃなかったみたいだけどね。
ララ
マーサちゃん…。
マーサ
ま、私は縁の有無を感じられるだけでその善し悪しまでは分からないし
少しでも多く、良い貰い手を見つけるまでだよ。
…うん!キミたちみたいな人がその貰い手の一人になってくれたら嬉しいよ♪
さーて、そろそろ行こうかな。
ララ
えっ!?もう行ってしまうんですか?せっかく会えたばかりなのに…。
マーサ
いやぁ…実は古美術品の買い付けに行く途中で寄り道したから。相手を待たせちゃってて…
もう少しキミたちと話したかったけど、それはまたの機会に!それじゃあ、またね♪
ララ
わわっ、本当に行っちゃいました…。
突然現れて驚きましたが、すごく明るくて素敵な方でしたね!
マガリー
プリンセス、それに貴方も。さっきは協力してくれてありがとう。
無事に呪具を封じることができたわ。
ララ
いいえ。私もマスターさんも。できることをやっただけですから。
マガリー
できることを…。そうよね。
私は、自分の呪具が力なきを護るために使われていることを誇りに思っていたけど
さっきみたいに誰かを傷付けてしまうこともあって…
その度に、呪具を作ったことを公開して生きてきたわ。
でも、貴方たちを見ていて少しだけ前向きになれたの。
もし私の呪具が誰かを護れるなら、やっぱり作り続けていこうって…。
ララ
マガリーさんはとても優しい方なんですね。
大丈夫です!もし今回みたいなことがあっても、私たちが力になりますよっ。
えっ、「廃屋敷でもそうだったけど、呪われた力は怖くないのか」ですか?
呪われた力はおばけじゃないので怖くありません!えっへん!!
マガリー
ふふ…。さっきまで戦っていたとは思えないくらい、賑やかな人たちね。
ララ
そういえば、あれだけ強い敵意を向けていた未暗がどこかに消えたのが気になりますね。
以前のルチナさん壊道 傀流のように、私たちを倒す以外の目的もなさそうでしたし…
…え、私たち未暗が戦っていたこと自体に意味があるかもしれない?
そうだとして、いったいどんな意味が…
???
ぐぅ~……。
ララ
うぅ…。考え始めたたお腹が……。
も、もうっ。笑わないでください~っ!
帰ってご飯にしましょう!考え事はそれからです!
ルチナ
良くやってくれたね。
プリンセスたちの気が未暗に向かったから、器作りが随分捗ったよ。
未暗
どうでもいいし、貴方からの賛辞なんて嬉しくないわ…。
私はあの方が望んだから行動したまで。
ルチナ
そうかい。でも、その大切な方も器の完成も望んでいるんだ。
また、必要になったら手を貸してくれると私は嬉しいよ。
未暗
……。
   

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