運命聖戦第三十七章_ストーリー

珠輪
君たち!無事なのね、良かった…。
ララ
珠輪ちゃん!?どうしてここに…それに無事、というのは?
珠輪
『暁の魔術団』が君達を狙って攻撃するっていう話を聞いて…私、伝えなきゃって!
意図的じゃなかったけど、罪の無い人間の魂を抜いてしまった過ち。
居場所を失う事を恐れて、私を拾った魔術団への恩を言い訳に力を使い続けた過ち。
私を気にかけてくれた君達を傷付けようとした過ち。
私が犯してきた罪は大きくて、償うには遅すぎるかもしれないけど…
せめて君達を助けたくて会いに来たの。
ララ
珠輪ちゃん…。ご自身が危なくなるかもしれないのに、私達を気遣ってくれたんですね。
珠輪
えっ…?そんない、あっさり信じるの?
ララ
もちろんです!私達を想った行動と今の言葉に疑う要素はありませんから。
それより今までの魔術団の様子を考えると、珠輪ちゃんのことが心配ですよ!
ノインちゃんやアハトちゃんへの時と似たような対応をされるかもしれません。
珠輪
…心が、軽い…。こんなに優しい気持ちになったの、いつぶりかな…。
ララ
珠輪ちゃん、どうかしましたか?
珠輪
いえ、なんでもないの。
魔術団の事だけど、私がなんとかしてみる。
あの時の研究者が言った通り、私は強い生き物から魂を抜くことで器を用意していたの。
器がそこに魂を入れる事で魔術団の兵器になるから、私の力を手放すのは惜しいはず。
安全とまでは行かないけど、ノインやアハトのようにはならないと思う…
だから、君までそんな顔をしないで?ちゃんと、君の元へ帰ってくるから。
???
帰る、かぁ。ま、骨だったとしてもキミのところに戻れば帰るになるのかな?
ララ
きゃあ!?これは…鋭い鎌ですっ!!
珠輪
まさか、もう追いつかれた!?
???
う~ん、流石に不意打ちではい終了とはならないかぁ…ざーんねん!
あ、こんにちは。聖なる血を持つ人間ご一行サマ♪
ティエ
『暁の魔術団』で器の管理をしてるティエでーす。
ララ
器の管理…?
ティエ
そ、器の管理。こういうヤツね、ジャジャーン!その名もガダヴェルだよぉ♪
ガダヴェル
……。
ララ
この鎌…!それじゃあ、さっきの攻撃はこの人が?
ティエ
ピンポーン!
改良に改良を重ねてやっと完成した、痛みを感じず命令に背かないヴァンパイア♪
死体を使ってるから、人形や機械より生きてるって感じしなぁい?
本当はカスパールの没薬を使ってもっと感情な躰にする予定だったんだけど
珠輪が盗ってくるの失敗しちゃうからできなかったんだよー!
ま、とりあえずは納得のいく仕上がりだったし、上の命令があったからキミ達に会いに来たんだ♪
あと珠輪の回収も。これに関しては面倒事を作った珠輪にきつ~いお仕置きしないとねぇ…。
ララ
死者の魂だけじゃなく、躰まで弄ぶなんて酷すぎます!
それに珠輪ちゃんは私達の仲間ですっ。絶対に魔術団に連れて行かせたりしません!!
???
プリンセス・ララは随分と気丈なんだな。
ヴァンパイアの末裔でありながら共存世界を謳うだけのことはある、か。
ララ
あ、えっと…ありがとうございます?
といいますか、貴方はいったい!?
???
話は後だ、来るぞ。
ティエ
あの時の墓守…そう、カロトだ!いいね、いいねぇ!!
私の技術で第二の人生を歩むヴァンパイアがどんな力を持っているか
たっぷり味わわせてあ・げ・る♪
ティエ
あっは♪ガダヴェルを封じちゃうなんてすごぉい!
カスパールの没薬がなくても結構丈夫に作ったのにぃ。
カトロ
そいつは墓守である俺の客だ。亡くなった時の状態は良く知っている。例えば欠損箇所…
ティエ
なぁるほど~。躰の構成で不足した箇所は補わなくちゃいけない。
その繋ぎ目が狙われたって事だね!
っていうか、そんなことよく覚えていたね?いーっぱいお墓を管理してるのにさぁ。
カロト
俺は一族が担ってきた墓守の仕事に誇りを持っている。
狂ったように墓を荒らし、ヴァンパイアの静かな眠りを邪魔する貴様とは違う…!
ティエ
わぁ、こわ~い♪
ま、ガダヴェルの事は報告しないといけないし~。珠輪は連れて帰らないとだし~。
もうちょっと遊びたかったけど、今日はお別れかなぁ。
それじゃあ行こっかぁ、珠輪…ってキミ、なにしてるの?
…へぇ~、「珠輪は連れて行かせない」ねぇ。そんなにフラフラな状態なのに?
珠輪
手を、離して…?
今の君達じゃティエには敵わない。私あ行けば、君達の相手をしたりしないだろうから…。
私に手を差し伸べてくれた君達が傷付くところは見たくないの!
ララ
マスターさん…?そう、ですよね!
珠輪ちゃんは自身の力で誰かを傷付けるのを嫌がっていました。
それを強要する魔術団の元へ連れて行かれるのを黙って見ていられません!
大丈夫ですよ、珠輪ちゃん。みんなで協力すればできないことなんてないです。
フラフラでも、ヘトヘトでも…何度だって立ち上がってみせます。
だから…どうか私達を信じて、その手を握ってください。
と言いますか…マスターさんは絶対に離さないと思います♪
珠輪
…ありがとう…っ!
ティエ
あれれ、もしかして珠輪はこっちに逆らう感じ?
それじゃあ、キミともう一度遊ぼうかなぁ♪ついてに聖なる血もちょーだい!
ロスト
そこまでだ。
ララ
ロストさんにアビスさん!?どうしてここに…?
ロスト
人間を傷付けるヴァンパイアの集団について情報を得た。
アビス
情報の中に貴方達の事も含まれていたから追ってきたの。
人間である貴方が無暗に傷付けられるのをロストは許さないわ。
ティエ
おっと…キミの元には随分色んなお仲間がいるんだねぇ。
あっはは♪もしかして、キミを人質にしたら色んなヴァンパイアが釣れたりするのかな?
祖を復活させるための器の構成自体も面白いけど、キミという存在も面白いねぇ!
キミ自体が器になった時の興味はもちろんだけど、他にも面白い事ができそう♪
ロスト
この状況でそんなことができると思っているのか?
ティエ
まっさかぁ!だから今日はたいさ~ん。
次は色々準備してから会いに来るからねぇ♪ばいばぁ~い!
ロスト
待て…っ!
アビス
霧!?…私達が来た時に力量差を見極めて用意したのね。
ヘラヘラした様子に見えたけど、思ったより強いのかもしれないわ。
ロスト
…そうだな。今深追いするのは得策じゃない。
ララ
ロストさん、アビスさん来てくれてありがとうございます!
ロスト
お前のためじゃない、人間を守るためだ。
ララ
て、手厳しいです…。でも、私達は助かりました。だから、ありがとうございます…なんです!
アビス
プリンセスは相変わらずなのね。
貴方の事はよく耳にするし、結果的に人間とヴァンパイアの両方を救ってくれていることもあるそうね。
ロスト
だか『暁の魔術団』のように一部ではお前達への不満を募らせ、問題を起こすヴァンパイアもいる。
人間に対し目立った被害はないようだが…そうか。お前は止めてみせると言い切るんだな。
分かった。ならばそこにいるヴァンパイアについて言及するのも控えよう。
アビス
…ロスト…。
ロスト
人間を救えるならば手を貸す…そういう話だったからな。
アビス
分かってる。私もこの人間が自分の理想をどこまで突き通せるのか、見てみたいから…。
ロスト
それに以前、俺達が殺めようとしたヴァンパイアの無実をお前は証明してみせた。
これでその時の貸しは無効だ。
ララ
あっ…もう行ってしまいました。
やっぱりまだヴァンパイアへの憎しみが強いようですね…
ですが初めて会った時より今のお二人は少しだけ雰囲気が柔らかくなった気がします。
憎しみという気持ちに囚われ続けるのも辛いはずです。
同じような人達を増やさないためにも、まだまだ頑張らないとですね!
えい、えい、おー!!
…はっ!?
そういえば私カロトさんとちゃんとお話しできていないですっ。
それに、珠輪ちゃん安心したのか気絶しちゃってますーっ!
あわわわわ…。とにかく珠輪ちゃんを安静にできる場所え運ばないとですよね?
もうっ、マスターさんも笑ってないで珠輪ちゃんを運ぶ手伝いをしてください!!
ティエ
はぁ~たのしかったぁ♪
確か天界生物をいくつか召喚する準備してたし、今度はそれを使って遊びたいなぁ。
珠輪がいないから魂は抜けないけど…ま、殺しちゃえば私の駒になるし♪
あ、でも先に祖のための器を再生成する手伝いが待っているんだった!
術師様に会えるし、そっちも楽しみ~。あっはは♪
   

    おすすめ

    コメントを残す