運命聖戦第三十三章_ストーリー

ララ
…マスターさ…わわ、眠ってしまったんですね。
きっと、すごく疲れているんですよね。
貴方は…あの日、教団と戦った日から…無理して笑うことが多くなりました…。
私はいつもマスターさんに助けてもらっているのに、私は君影さんを救えなくて…
…っ!マスターさん、起こしちゃいましたか?
私が泣いてる気がした、ですか?な、泣いてませんよ!……もう人の心配ばかりなんですから…
そうです!ヴァンパイア王からお手紙が届いたんです!
こうしてお手紙でやりとりするなんて不思議な気持ちです。
ヴァンパイア王は人間を信じ、共存世界を望んでいた方です。
しかし、ヴァンパイアをよく思わない人間によってその想いは打ち砕かれ、
貴方の前世であるセイクリッドさんまでも人間に殺められたことで、
怒りで自我を失ってしまいました。
王は神によって現世と切り離されで、その後、悪魔化して私たちとは敵対していました。
でも、今では貴方の言葉を信じ、見守ってくれています。
お手紙の内容は、なになに…
わぁっ!マスターさん大変です!!これは、挑戦状です!!!
蒼聖の教団との戦いも既に知っているようで、
その過程で培った力や仲間との絆を見せてほしいと書いてあります!
…って、あれれ?なんだか挑戦状が光って…っ!?
ララ
うぅ……。さっきの光はいったい…?
???
貴方たちが王の言っていた、聖なる血を持つ人間とヴァンパイアのお姫様ですね?
むー。王が期待するような雰囲気は感じられませんが…でも、命令は絶対ですもんねぇ。
ララ
あの、貴方は…?
クリム
あ、申し遅れましたぁ。私、ヴァンパイア王の命で貴方たちの血からを試しにきたクリムともうしまぁす♪
さっきの光は、王が挑戦状に仕掛けた移動用の魔術ですぅ。
まずは私とイリアル様と戦ってもらいまぁーす!
…はっ!でも戦わずに通しちゃえば、王に怒ってもらえちゃう!?
あんなお仕置きや、こんのお仕置きも…?
ぎゃっ!!…あぁんもう、イリアル様ぁ♪そんな風に魔力をぶつけるなんて……
最高ですぅ~!!!!
イリアル
クリムったらいけない子ね。そんなにお仕置きされたいなら私がしてあげるわ。
ララ
いったい、どうなっているんでしょ…。仲間割れ…でしょうか…?
イリアル
うふふ、驚かせちゃってごめんなさい。私はイリアル。
私は王たちの護衛、世話役として王によって創られた存在。
王の命令で貴方たちの力をためるために来たの。
なにのこの馬鹿は叱られるために手を抜こうとするなんて…少しだけお仕置きしたのよ。
ララ
少しだけ…とても強い力だったようですが…
イリアル
この子はこの程度じゃ壊れないわ。それによくあることだから、気にしないで。
それよりも、自分たちの心配をした方はいいわね。
私たちも全力で戦うから命の保証はできないわ。
ララ
相手が本気だということが肌に伝わってくるような、すごい威圧感です…!
貴方は私が護ります!!
っ、マスターさん!?自分も戦うなんて、そんなの無茶です!!
貴方は人間です。一度負った傷はそう簡単に治りません!
それに貴方は以下、心に深い傷を負った状態です…
なのにいつもと変わらなくて…これ以上、無理をしないでほしいんです…!!!
…「だからこそ落ち込んでいられない」…?
「悲しみで判断を鈍らせている間に、別の悲しみを生まないために」…マスターさん…。
…分かりました!それなら一緒に戦いましょう。
決して一人じゃありません。それだけは忘れないでいてくださいね。
イリアル
うふふ、なんて力強い瞳の輝き…
ただの人間とか弱いお姫様というわけではなさそうね。王が期待するだけのことはあるわ。
さあ、クリム。本気を出しなさい。王と王妃のために戦うわよ。
…頑張ったら最高に痛いご褒美が待っているかもしれないわよ・
クリム
ひゃああ!たまらないですぅ!躰がバラバラになっても頑張りますぅ!!
ララ
二人を倒し、王の元へ行きましょう!!
イリアル
…っ、私たちを倒すだけでなく、王とここまで張り合うなんて…
しかも私たちの心配までするなんて…あはははっ!なんて面白い人間なの!!
クリム
むー!貴方の命令なんて聞きたくないのに…
その真っ直ぐな瞳で「やめろ」なんて言われたら従ってしまいますぅ~!
ヴァンパイア王
下がれ。
イリアル
はっ!
ヴァンパイア王
貴様とララの深まった絆、しかと見せてもらった。
以前、私と戦った時と比べ迷いがなくなっている。
迷うことで失うものもある…それを分かってきたようだな。
ヴァンパイア王妃
ララからは、その者を支え、ともに戦うという強い想いを感じることができました。
心に傷を負った者が一人で立ち上がり、歩みを進めるのはとても難しいことです。
あなたたちが築いてきた絆があったからこそ、本来の強さを取り戻すことができたのです。
私たちはあなたたちを信じていました。
ララ
…どうして今なんですか…?傷ついた心はすぐには癒えません!!
戦うことで無理やり傷を塞ぎ、強くいなくちゃいけないなんて…ひどいです…!!
ヴァンパイア王
…だからこそなのだ。
戦いの場において、心身共に傷付いている者がいれば、それは敵にとっての転機となる。
その状態で心折れることなく戦い抜けるのか…私はその力を見ておきたかったのだ。
先程の戦いをみていれば、それも杞憂だったようだがな。
ヴァンパイア王妃
心の傷…悲しみが癒えるには長い時間が必要だと、私たちも分かっています。
だからこそ、新しい傷が増えぬよう強く生きなければならないのです。
ララ
…そう、ですね…。…マスターさん、貴方にもお二人の想いが伝わっているんですね。
共存世界を目指す私たちは戦い続けなければなりません。
どんな時でも折れない心が必要なんですね…。
ヴァンパイア王妃
貴方たちは強い。イリアルとクリムを倒し、王と互角に戦ったことを誇りに思いなさい。
ララ
はい…!
ヴァンパイア王
セイクリッドの魂を持つ者よ。
貴様は人間であるが故に持っている力がある。その力でこの先も未来を切り開いていくであろう。
だが、貴様は大切な友を失った。
その悲しみは深く闇に囚われやすくなるだろう。かつての私のように、な…。
…復讐や憎しみの心は悲劇しか生まぬ…。イ様は幾度なくこの言葉を口にしてきた。
今回ばかりは、その言葉を己自身に投げてみるといいだろう。
……フッ。十分理解しているようだな。
ならば私も見守ろう、貴様の行く末を…
セイクリッドが目指した、光ある未来をな…。
ララ
…きゃ!?目の前が光で真っ白に…
ララ
……ここは…、お屋敷まで戻ってきたようですね。
今回の戦いは、私たちへの忠告も兼ねた王なりの気遣いだったようですね。
王は、大切な人を亡くすことで復讐や狂気に囚われることがあると、誰よりも知っていますから…
よーし!これからも力を合わせて頑張っていきましょう♪
そのためには、マスターさん!一人で背負い込まないでくださいね?
貴方が悲しい時は一緒に涙を流したいし、貴方が楽しい時は一緒に笑いたい…
みなさんそう思っているんですよ。もちろん、私も…。
えへへ、なんだか照れますね。…さて、エヴァンにお茶を用意してもらいましょう♪
…あれ?貴方が手に持っているその手紙はなんですか?
いつの間にか持っていたって…まさかまた誰かからの挑戦状ですか!?
…イリアルさんから、ですか?
なんだか顔が赤くなっていますが…ちょ、ちょっと貸してください…!
…『貴方って諦めが悪くて遊び甲斐がありそう。私の下僕になれば、特別に可愛がってあげる。
現世では味わえない最高の世界に逝きましょう』…!?
うわーん、絶対だめです!!私だって最高の…アップルパイを用意しますー!!!
   

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