運命聖戦第四十三章_ストーリー

ファルス
この先に彼女が…。
ララ
彼女…魔術団に属している五人目の四術師ですね。
ファルス
あぁ。正確には彼女が本当の四術師と言った方がいいかもしれない。
僕は彼女の人形や影武者のような役だったからね。
ララ
ファルスさん、話してくれませんか?
表立って幹部として動いていた貴方なら魔術団のことに詳しいはずです。
私は知りたいです、貴方達のことを…。
ファルス
君達に協力を仰いている身だ、もちろん話そう。
暁の魔術団、あれは彼女…トレイジーが創ったものなんだ。
ララ
魔術団の幹部が組織の創設者でもあったんですね。
ファルス
トレイジーは両親の影響もあって昔から人間を嫌っていたけれど、
あえて自分から人間を傷付けるようなことはしなかった。
ララ
今もそういったヴァンパイアが多くいると聞きます。
でもそれなら魔術団を創ろうなんて思わないような…。
ファルス
無暗に関わらなければ穏やかに暮らせると当時は信じていたからね。
けれど人間はトレイジーを襲った…。
多少の傷であればすぐに回復する。だから僕は彼女を庇って攻撃を受けた。
少しの間、耐えていれば諦めるだろうと思ったけれど
その回復力は人間を怯えさせるには十分だったらしい。
まるで怪物退治をするかのように攻撃を続けたよ。
ララ
そんな…!
ファルス
体が耐えられる範囲を超えたからなのか、僕の体は動かなくなった。
その頃には人間の方も体力を使い切ったのかその場を去り
結果、トレイジーを守り切ることができたんだ。
ララ
その出来事が魔術団を創ろうと思った原因…。
???
本当にそれだけだと思っているのか?
ファルス
トレイジー!!
ララ
貴女が、トレイジーさん…。
トレイジー
こうして会うのは初めてだが、話をするのは二度目だねプリンセス。
ララ
二度目…。あっ、もしかしてノインちゃんを通じて喋っていた…!
輪廻
世間話をしている暇はない、サラはどこだ!
ララ
す、すみません…!
トレイジー
随分と気の短い仲間がいるようだ。焦らさずともここにいる。
輪廻
サラッ!!
ファルス
トレイジー、君の希望通りプリンセス達は僕を連れてきたんだ。
その人を彼に引き渡してくれ。
トレイジー
ファルス、何があった?目的のため、共に戦おうと口にした貴方らしくない。
ファルス
君と共に戦いたいという思いは今も変わらない、だが憎しみに囚われ、苦しむ君を見たくないんだ。
きっと僕達の未来を創る方法は他にあるはずだ…!
トレイジー
フフ、ハハハ…ッ。なるほど、プリンセスに何かされたんだね。
ファルス
違うんだ、トレイジー!僕の話を聞いてくれ!!
トレイジー
安心するといい。貴方は唯一、我の心を知る者だ。我がすぐそこから連れ出す!
ルシンダ!!
ルシンダ
きゃは♪みなさん初めまして~。
もうずっと戦いたくてうずうずしてたの!
壊れるまでた~くさん、私と遊ぼうね♪
ララ
落ち着いて話を聞いてくれる雰囲気じゃなくなっちゃいました…。
と、とにかくルシンダと呼ばれた相手はとても強そうです。
気を付けましょう!
トレイジー
聖なる血を持つ人間もプリンセスも、我等を傷付けた存在を肯定しているのだぞ!!
それなのに何故、その人間の血を得てまで我の前に立つのだ…ッ!?
ああ…何故、自由を失った貴方の体が動いているの…?
ファルス
トレイジー…。
僕はここ数日の間、聖なる血を持つ人間が様々なヴァンパイアと交流するところを見てきたんだ。
その様子はまるで種族の違いを感じさせないほと穏やかでいて、賑やかで…
とても普通だったんだ。
ララ
ファルスさんは私達の様子をそんな風に感じていたんですね。
ふふ…貴方もヴァンパイアと過ごす時間が長くなって、あまり気にしていないもんね。
ファルス
僕達を傷付けたような人間は今も存在している。魔術団での活動を通じて見てきたからね。
だけどそうじゃない人間もいるんだ。
そういう人と関りをもてれば、僕達は別の未来を見ることができるんじゃないか?
トレイジー
やめろ、やめろ…!…やめて…ッ!!!
やっぱり今の貴方はおかしい。今まで魔術団の在り方に意見したことなんてなかっただろう!
ファルス
そんな僕の考え方を変えるような光を、聖なる血を持つ人間は持っているのかもしれないね。
トレイジー
そんな戯れ言、聞きたくなどない!
輪廻
随分とその男に執着しているんだな。
ララ
輪廻さん、それにサラさんも!無事だったんですね!!
トレイジー
貴様、いつの間に…まさか!
ファルス
君を欺くような真似をしてるまない、トレイジー。
だが、彼女はこの人にとってとても大切な存在なんだ。
…そう、僕にとっての君のように…。
トレイジー
クッ…。このまま貴方を連れ帰っても魔術団の内部に混乱を招くばかりだ。
ルチナ、転送魔術を起動しろ。
ララ
きゃあ!?眩しいですっ。
輪廻
消えたみたいだな…。サラ、痛むところはないかい?
そうか…。もう大丈夫だ、私と共に帰ろう。
ファルス
トレイジー…。
輪廻
サラ?…ああ、分かっているよ。本当に君はどこまでも優しくて、心が美しい…。
ファルス、魔術団の存在がサラを危険に晒した。そしてお前はその組織の一員だったな。
ファルス
ああ、間違いないよ。…君に僕を罰する権利がある。
輪廻
何を言っている。
ファルス
いや…。君の大切な人が危険に晒された責任を取る必要があるという話だろう。
輪廻
そうではない、サラが感謝の気持ちを伝えたいと言っているんだ。
サラを取り戻す隙を作るために、お前にとって大切な相手を騙すような真似をしていたんだろう。
そして、その相手の傍に戻る機会も先送りになった。
ファルス
途中からは彼女を憎しみから解放したい一心で喋っていたけど…
輪廻
それでもだ。助かった、礼を言う。
ララ
ふふ、輪廻さんは相変わらずですね。サラさんファーストを徹底しています。
そうですね…。私達から見てもトレイジーさんは苦しそうでした。
何をしても消えない憎しみが積み重なって、そこから動けないでいる様な…。
だからファルスさんとも協力してもう一度トレイジーさんと話せないか考えたいんです!
トレイジーさんからしたら私達は憎みたい相手だとは思うのですが、
一緒に話したり過ごすことで考えが変わるはずです。
互いを知ることが共存世界へ繋がる、ファルスさんの様子を通じてそれを実感したんです!!
マスターさんもやる気いっぱいでとっても頼もしいです♪
でも、連れ去れていたサラさんに異常がないかも気になりますし帰りましょう。
輪廻
サラのことは私が一番よく知っている。君達の世話になる必要は…どうしたんだい。サラ?
分かった、君が望むなら私は叶えよう。
ララ
輪廻さん、サラさんは何と…?
輪廻
…久しぶりにアップルパイが食べたいそうだ。
ララ
そういうことなら任せてください!
体も心も元気になるようなパイを焼いちゃいますよ、楽しみにしていてくださいね♪
   

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