運命聖戦第三十九章_ストーリー

ララ
闇オークションで暴れる魔物が落とした手紙には、
壊道傀流がロザーさんと会う約束をしている事が書かれていました。
ですが、この森は広くて指定されて場所まで行くのは大変そうです…。
エルシィ
それならお任せください!私が最短距離で行けるようにナビします。
ララ
エルシィちゃんのナビがあれば心強いですね!よろしくお願いします♪
エルシィ
ピピッ…。ルートの確保、完了。こちらです。付いて来てください。
エルシィ
私のナビではこの辺が手紙に記されていた場所のはずです!
???
あんな手紙一つを頼りにノコノコとやって来るとは…。
ドクトル・ファウストよ。やはり腑抜けているのはプリンセスの方ではないか。
我が用意した罠に容易くかかる…このような者が王家の末裔など我らがヴァンパイアの恥だ!
ララ
そのしゃべり方は、まさか…あの時、ノインちゃんを操っていた暁の魔術団の幹部!?
それにロザーさんも…。
ロザー
オークションの時はよくも私に恥をかかせてくれたわね…!特にそこの人間!!
私が追いかけるとわかっていながら逃げ回り、鎖の魔法陣まで誘導した…。
え、その時は気づいていなかった?……と、とにかく!今日は貴方達に逃げ場はないと思いなさい!!
ファルス様にも助力いただいてのリベンジ、私が負ける理由なんてないもの。
ララ
ファルス…それが貴方の名前なんですね。
???
ああ、これから死ぬものに伝える必要もないだろうと思っていたが…自身を葬る者の名も知らぬのも不憫か。
我が四術死のファルス、最高位の傀儡術を扱う者。ヴァンパイアとしての誇りを捨てたその身に刻むといい。
ララ
…ッ。
ファルス…それが貴方の名前なんですね。
それとロザー、お前は勘違いをしている。我は助力に来たわけではない。
ロザー
え…?
ファルス
我々が純血ヴァンパイアの亡骸を欲し、手に入れた事をプリンセス達が知れば邪魔が入るのは明白だ。
しかしお前がプリンセス達との接触を易々と許したため、我はこうして手を打たざるを得なくなっただけ。
我は事前に注意深く行動しろと伝えていたはずだが?
ロザー
そ、それは…あの者達がつけていた魔法の仮面があって……
ファルス
それで自身の目的をペラペラと喋った…か。
大した力はないもののその資産は使えるだろうと傀流をあてがっていたが…最早、不要だな。
ロザー
ファルス様、それはどういう…うッ!?
ララ
ロザーさん!?ファルス、一体何をしたんですか!
ファルス
フン、力のないロザーに糸を繋いだまで。我の力で動けば多少は戦力になる。
ララ
そんな…ロザーさんは貴方達の仲間じゃないんですか!?
ファルス
魔術を扱う事ができ適正はあったが、結局その力を伸ばす事はできないまま…
傀流が与える偽りの愛に溺れるばかりの愚か者よ。
我らが活躍するための良い資金源であったがな。
ララ
どうしてそんな酷い事が…ッ、マスターさん?
ファルス
ほう…。我ではヴァンパイアの幸せの証明ができないと?
全てに慈悲を与えるような王家のやり方が、ヴァンパイアの幸せに繋がると…?
フ…。ククク……、アハハハハハッ!戯言だな!!
貴様は知らない。王家がどれほどのヴァンパイアを犠牲にしたか、人がどれほど残酷か…ッ。
そんな者達は我らの未来には不要なのだ!!!
ララ
ファルスが向かって来ます!マスターさん、エルシィちゃん気を付けてください!
ファルス
まさか…我が敗北しただと……?
あり得ない!あの時から培ってきた力が腑抜けたプリンセスや人間に敗れるはずがない!!
いや、まずは戻って治療をしなければ…ッ!?
ディーナ
止まってちょうだい。大人しくしてくれれば、傷を負ったその躰に危害を加えないわ。
メリー
ただし敵意を感じる動きを見せた場合、即刻排除する。従った方が身のためだ。
ララ
ディーナさん、メリーちゃん!どうしてここに?
エルシィ
戦いに入る直前に力を貸してほしいと私が信号を送っておいたんです。
力を計測しても正常な値が出ないほど、大きな力を持つ相手でしたから…。
ディーナ
私達はその信号を掴んでここまで来たの。大きな怪我はないみたいで安心したわ。
メリー
だけど体力の消耗が見受けられる。少し休んだ方がいい。
ララ
みなさん…ありがとうございます!
あれ?ファルスとロザーさんから糸みたいなものが出ています。
多分、あの時ファルスがロザーさんに使った糸…相手を操るものと同じだと思います。
マスターさん、どうしたんですか?
…たしかにこの糸が四術死であるファルスの力そのものだとしたら、
それを辿れば魔術団の情報が見つかるかもしれません!
ファルス
ッ、させるか…!
ララ
あっ!?ファルスが糸を切ってしまったせいか、薄くなっています!消えてしまう前に追いましょう!!
ディーナ
待って、ロザーという子が逃げてしまうわ!
ララ
ロザーさんが!?
ディーナ
ごめんなさい…切れた糸に意識が行った瞬間にファルスが逃がしてしまったの。
メリー
プリンセス、念のため確認する…このファルスという人は貴方達の敵で間違いない?
ララ
え、そうですね…。敵という言い方が正しいかまでは分かりませんが、さきほどまで戦っていた相手です。
メリー
そう、か…。すまない、もしかしたら私のシステムに異常が発生しているかもしれない。
一瞬、この人の表情を見て攻撃が止まってしまったんだ…。
ララ
……。
メリーちゃんの判断は正しいのかもしれません。実は…私もファルスについて違和感を感じているんです。
魔術団という組織にロザーさんは不要だと言って道具みたいに扱っていたファルスが、
ロザーさんを逃がしたなんて…。マスターさんも同じなんですね。
ファルス、貴方は何者なんですか…?
ファルス
…変わらない。我も…僕も……。
ただ…そうだな。僕にも心を配る相手がいる、といったところかな。
フ…なるほど。そこの聖なる血を持つ人間は、僕が操られていたんじゃないかと思っているんだね…。
その答えは、半分は正解だけど…もう半分は不正解だ。
戦ってみて少しだけ分かったよ、君という人間が…。
クッ……帰れなくて…ごめん…。
ララ
ファルス!?私達はまだ貴方に聞きたい事が…!
エルシィ
どうやら気を失ってしまったみたいです。
生命活動に関わるほどではありませんが、かなり魔力の消耗が激しいです。
力を使う際、普通は本能的に制限をかけるラインがありますがそれを超えていたんじゃないでしょうか。
ララ
ファルス……。あはは、マスターさんにはお見通しなんですね。
私や王家の存在がファルスをここまで追い詰めてしまったのかな、とか…
色々考えてしまって…。でも、今はそれを聞ける状態でもありません。
とりあえずファルスは私の屋敷まで連れて帰りましょう。
ムゥちゃんにお願いすれば結界も用意してくれますし、使用人のみんなは頼りになりますから!
エルシィ
それとお二人に伝えておきたい事が…。
ロザーさんが逃げた時、何か紙切れのようなものをファルスから受け取っていた気がするんです。
一瞬の事だったので、もしかしたら見間違いかもしれないのですが…
ララ
そうだったんですね…ファルスが起きた時にその事についても聞いてみますね。
エルシィちゃん、それにディーナさんもメリーちゃんもありがとうございます!
エルシィ
わわ、そんな貴方まで深々と…!
お礼には及びません。私達はみんな力になりたくて貴方の傍にいるんですから…♪
ロザー
ハァ、ハァッ…!
一体どちらに…傀流、さま……ッ!!
せめてファルス様の事を伝えなくちゃ…私にはそれくらいしか、できない…。
   

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