運命聖戦第三十一章_ストーリー

リオン
ブラッドマスター…。あの男の…君影のことを心配しているのか?
ララ
廃墟では君影さんは自ら姿を消し、追うことができませんでした。マスターさん、とても心配ですよね…。
君影さんは言っていました、自分とヴァンパイアとどちらが大切か、考える時間をあげると…。
だからきっと私たちの前に姿を現すはずです。
リオン
蒼聖の教団は人間が作った組織…だが、ブラッドマスターたちももう分かっている通り、
既に人間ではいられなくなっている者も多い。…僕やリンカのように。
強さを手に入れるのは一番の目的だけど「そうせざるをえない」というのもある。
ララ
…そうせざるをえない?
リオン
教団には使徒などの強大な力が蔓延しているから、人間のままでは体が耐えられなくなるんだ。
末端の教団員であれば、その強大な力にも近づく機会はないからそこまで影響はないんだが。
君影は『人間』のまま、幹部という地位についている。
つまり、人間でありながら何か特殊な力を持っているのかもしれないな…。
ララ
…あの時、君影さんはとても辛そうに見えました。
もう既に、かなりの負担が体にかかっているのかもしれません。
早く、私たちヴァンパイアがマスターさんを洗脳しているという誤解を解いて、
教団から離れていただくべきです…!でないと…
ふざけるな、化け物風情が…!
ララ
…君影さん!
何が誤解だ…、お前らヴァンパイアは人間の血が欲しいだけだろうが。
ヴァンパイアは人間に化けて人間界に紛れ込んで生活しているからな…
その能力でこいつを洗脳して、人柱にでもする気だろう!
ララ
な、人柱だなんて…っ!
こいつは昔から優しかった…自分のことより他人のことを優先してしまう。
…俺は物心ついた時にはヴァンパイアの存在に気づいていた。そういう特異な『体質』だった。
そのせいで周りからは変わり者だと言われた…嫌がらせする奴もいた。
だが、こいつだけは俺に優しく接してくれた。周りにどう見られるかも気にせずに。
そんなこいつの周りから、異質な気配を感じ始めたんだ。
…それは、こいつとお前が出逢った頃だよ、ヴァンパイア王の末裔!
こちうの後をつければ、大体お前が近くにいるじゃないか。
人間であるこいつを危険な目に遭わせて…怪我をさせて…もう利用するのはやめてくれ。
安心しろ。俺がお前を救ってやるからな…。
ララ
君影さん、私たちの話を聞いてください!
うるさい!!…キサ、相手してやれ。
…キサ?聞こえないのか。
キサ
いやだ…。
俺に歯向かう気か。
キサ
私、ここに来てからずっと痛くて辛かった!
あなたは、ブラッドマスターはヴァンパイアに利用されてると言った…
じゃあ教団は…?私を利用してるじゃない!助けるふりをしてたくさんひどいことをした!!
もう許して…私は望んで悪魔の力を持って産まれたんじゃない。普通に生きたいだけなのに…
悪魔アスタロトとヴァンパイアの娘が普通に生きる?笑わせるな!
お前ら化け物は必ず人間を傷つける悪しき存在だ…!!
ぐ…はあ、はあ…。
ララ
君影さん、大丈夫ですか!?無理しないでくださ…
気安く触るな!!
ララ
…君影さん、なぜそれほど無理してまで教団に属するんですか…?
あなたの体はボロボロに見えます…そうなったのは教団にいるせいではないんですか?
化物が俺を諭す気か…?
ララ
…確かにマスターさんを戦いに巻き込んだのは、この私です。
ですが…誰かのために行動する、困っている人の力になろうとする姿こそ、
あなたがよく知るマスターさんではないですか?
マスターさんは洗脳なんてされていない。自分の意志で、私に力を貸してくれているんです。
だから今こうして、あなたの目の前にいるマスターさんは、
大切な友であるあなたを心配しているんですよ。
そうですよね?マスターさん…。
……。
ルルア・インモラルロード
何ヲ勝手なことを…!
ララ
あなたは…ルルア・インモラルロード!!
ルルア・インモラルロード
これ以上ノ邪魔は赦さなイ…私は運命ヲ手に入れル…そして母ヲ取り戻ス…!!
ルルア・インモラルロード
…はぁ、……はァ…。
聖なる血ヲ持つ者…、神の血ヲお母様ト分けあったあの人の心ヲお母様ニ向けルためニ、
こノ教団を作ったのニ…。現世でモ、ヴァンパイアに奪わレテしまった。
いくつもノ前世デ叶わなカッタお母様ノ望、私じゃ叶えテあげられなイ…。
選ばれなイことニ絶望しテ眠りニついたお母様ヲ、目覚めさせたイのに…。
…現世のあの人を殺しテ、やり直すしかなイ。いつかノ前世みたいニ。
お母様…申し訳ござイません…
力ヲ貸して………ママ…ごめん、ね…。
ララ
ルルア・インモラルロードはどこに…!
!!君影さん、しっかりしてください!
っ、マスターさん!!それ以上近づいたら危な…
…っ!マスターさんの声にだけ、君影さんが反応してます…!!
…ガハッ、……ぐ、…う…っ。
…俺は、お前を…宿命から…救えない…の、か……。
恩…返し……でき、ないの…か…。
……?お前、何を…言って……よく、聞こえな……
マディナ
ふふ♪私に改造されていれば良かったのに、やせ我慢するからそうなるのよ。
…何を…っ、
マディナ
この人間、親友である貴方がこんなボロ雑巾みたいになってもヴァンパイアに肩入れしているわよ。
悔しくはに?このままで終わっていいの?…いいわけないわよね?それじゃ大人しくしてなさい♪
おっと♪邪魔はさせないわよ?聖なる血を持つ人間さん。
私の可愛い実験体たち、この人間さんを抑えててね。…そんな必死な顔して、私を興奮させないで♪
自分の大切な親友が、自分のせいで人間でなくなる様をしっかりと見届けてね…♪
ぐ、ぁ、アア………
マディナ
…ふふっ♪貴方は最高の実験材料だわ。最後まで私を楽しませてちょうだい…♪
グァアアアァアアアア!!!
…グ、アァ…
…感じル、香りヲ……
これガ…聖なる血……お前ノ、血の香リ…なのか……?
…う、ウウ…アァアアアアア!!!
ララ
君影さん…!
マスターさんっ、待ってください、ここで貴方を行かせるわけにはいきません!!
君影さんは…君影さんはもう人間ではなくなってしまいました…!
無理やり力を与えられたせいで暴走しています!
貴方のことだって、本人の意志とは関係なく傷つけてしまうかもしれないんです!!
だからここは踏みとどまってください…!!
ゴゴゴゴゴゴ…!!!
ララ
…っ!建物が…!?
リオン
ブラッドマスター!プリンセス!
僕の持つ蒼聖石が、黒く染まってしまった…教祖が何かしたのかもしれない。
このまま建物が崩れれば生き埋めだ、逃げよう!
ララ
そうですね…マスターさん、お願いです私たちと一緒に逃げてください。マスターさん!!
リオン
…、許せブラッドマスター。ここで君を失うわけにはいかない…!
   

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